「オークラウロと和乃宴」を開催しました!
2018年1月30日(火)に東京・御茶ノ水の池坊東京会館にて「オークラウロと和乃宴」を開催いたしました。
昭和20年代ごろに後の民謡尺八の大家となり、オークラウロ奏者でもあった菊池淡水が、人気鶯芸者の赤坂小梅の唄にオークラウロで伴奏を付けた「稗搗節」をレコードに吹き込みました。コロムビアから発売されたこのレコードの音源は今でも聴くことが出来ます。淡水はほかにオークラウロで吹き込んだ「南部牛追い唄」の音源も残しており、数年前には復刻されてCDにも収められました。
昭和初期に日本の歌謡界で活躍した鶯芸者を取り巻いた新民謡や民謡ブームの立役者たちは、大倉喜七郎が作った新邦楽・大和楽にも深く関わっていました。また、彼女たちの中には、実際喜七郎の商談の場でお座敷を務めた人気芸者もいました。そうした場で、恐らくオークラウロが話題に上ったり、喜七郎によって戯れに吹かれたりもしたでしょう。つまり、オークラウロは民謡ブームやお座敷民謡に近い場所に、いつも寄り添っていたのです。
私たちも、このプロジェクトを始めてからずっといつかはオークラウロで民謡をと考えておりましたが、この度ようやくその夢を果たすことが出来ました。民謡ブームと鶯芸者に因んで、お座敷民謡をコンセプトとしたコンサートを、中棹三味線の尾上秀樹氏との共演でお送りしました。オークラウロとしては初となる尺八以外の和楽器との共演でもありました。
第一部では当時の時代背景やそれぞれの民謡が流行した経緯などの説明とともに、オークラウロと時には尺八を交えつつ、関連の深い名曲の数々をお聴き頂きました。幼少時より両親の薫陶を受けてきた民謡家でもある小湊と、民謡ほぼ初挑戦の大河内の二人が、オークラウロ2管によるハモリや、尺八とのハモリなど初の試みにも挑戦しました。オークラウロのクリアな音色や、2管の織りなす和音の綾により、耳馴染みの良いメロディーラインが一層際立ち、どこかハイカラな印象をまとった民謡の新しい一面を引き出せたのではないかと思います。
また、オークラウロ・コンサートでは珍しく、和装に身を包んだ奏者たちが、池坊東京会館ロビーの座敷に居並ぶ様はとても新鮮でした。
第二部では、各奏者たちのオリジナル曲をノリノリで披露しました。ファンの皆様には嬉しいお馴染みの曲ばかりだったのではないでしょうか。第二部から参加の土屋が人生で二度目というマンドリンで「庭の千草」の伴奏をしたのも聴きどころでした。
アンコールでは、小湊の太鼓も加わっての「東京音頭」を会場の皆様と合唱いたしました。前半、後半でガラッと変わる構成で、お客様には二度楽しいコンサートになったのではないでしょうか。出演者としても本当に楽しい時間となりました。
ご来場くださいました皆様、誠にありがとうございました!
出演
オークラウロ1 小湊昭尚
オークラウロ2 大河内淳矢
中棹三味線 尾上秀樹
ヴァイオリン 土屋雄作
司会、解説 田中知佐子
第一部
会津磐梯山(福島)
佐渡おけさ(新潟)
稗搗節(宮崎)
南部牛追い唄(岩手)
喜代節(秋田)
磯節(茨城)
金毘羅舟々(香川)
最上川舟唄(山形)
ちゃっきり節(静岡、町田嘉章)
第二部
庭の千草(アイルランド民謡)
ZIPANG(尾上秀樹)
春ナワスレソ(尾上秀樹)
悠久の天地(大河内淳矢)
Blue Span(小湊昭尚、美鵬直三郎)
碧と(小湊昭尚)
アンコール
東京音頭(東京、中山晋平)